夢にまで見た
あぁそうか。
思い出してみればなんてことのない。
今まで理由もなく怖がっていた桜の木の下に立って考える。
幼少期縄をくくっていたところを親に見つかってしまった桜
入学式嫌味たらしく満開だった桜
卒業式の時残念ながら咲いていなかった桜
最後に伊作を手にかけたとき、どこからか舞い降りてきた 桜の花弁
「時代や景色がまるで違っても、お前らはあの頃のままなんだもんな。そりゃ見るのが嫌になるわけだ」
何百年も昔、桜を睨み付けていた少女がいた。そんな時代が教科書に載るくらい後になってようやく心の底から綺麗だと笑いかけるようになるなんて、あの頃の私は想像できただろうか。
「、おはよう」
「おはよう……善法寺」
伊作、と呼び掛けて止めた。
思い出したと告げるのはいつにしようか、意地悪くも熟考している最中なのだ。
「……」
今の私は上の方で一つに髪を結いあげているから、当時を彷彿させたのか一瞬表情を曇らせる面々につい笑いそうになってしまう。そんな悲しい顔をするなよ。
当時はあんなに恨んでいた筈なのに、今じゃ隠し事をする子供のように早く話してしまいたいと気持ちが踊った。
『あいつらは転生だとしても、私はあくまで前世の記憶が戻っただけだから』
八左ヱ門に説明した言葉が改めて自分のなかでしっくりときた。
よくも悪くも私はあの頃と同じではないのだから。あの学園にいた頃のようにまた七人で笑い合えるよ。
「……ふふ」
「なんだよ気味が悪いな」
「ああ、そうだ潮江」
桜が満開になったら、こいつらの背中を思い切り蹴飛ばしてやろう。そしたら、おかえりと迎えてくれ。
「今年は、桜が美しく見られそうだね」
前│了
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