「ふぁあ……眠い」
早いもので作戦当日。一人緊張感のないを差し置いて、覆面を巻いた五人の忍は今一度作戦の確認をする。
「長次と仙蔵、大丈夫かな……」
「伊作ぅ、お前あいつらの心配しないで自分の心配したらどうだ?」
「えっ」
「与四郎、どうか伊作を頼む。全自動不運寄せ付け機なんだ」
「えっ」
「まァかせとけ留三郎!おめーらこそ忍隊を相手するんだ。死ぬんでねーぞ」
「もういいだろ、行くぞ留三郎。俺らは向こうだ」
「俺に指図すんなバカ文次ッ」
この状況でも二人の仲は変わらず、お互いを罵り合いながら忍隊との合流に向かった。
「じゃあ僕たちも行こう」
卯の方角にいる三人もそれぞれ武器を構え顔を見合わす。
「伊作、奇襲ということは好きなだけ暴れて目立ってもいいんだよな」
「いいけど、小平太が怪我をするんじゃダメだからね」
「いけどんで頑張る」
そんな三人を見送り、男は光のない目でぎろりと辺りの状況をうかがった。
卯ではあいつらが囮、立花や中在家はまだ侵入経路を確保していないのかそれらしい狼煙も上がらない。 忍隊に向かった連中は……まぁいいや、俺があいつらとぶつからなきゃ関係ないしな。
ぶつぶつと唱え、いまだ胡座のまま動こうとはしない。
「出来るだけ楽に片したいからなぁ」
「何が楽に、だ」
木を揺らし背後に立った立花仙蔵と中在家長次に現状報告を求め、男はため息をつきつつも素直に応じた。
「守備は固い。本来なら弱点になりそうな所もしっかりと固められていてこれといった穴がない」
「……南蛮式の武器が多かったな。あらかた火薬を駄目にしてきたが、あれが機能してはやっかいだ」
「へぇ……」
「それから」
まだ何かあるのかと肩をすくめ男の口を見る。
「天守閣及びどこの部屋にも、大将らしき姿が見られない」
「逃げたのか、それにしては影武者すら用意していないのもおかしい」
あれでもないこれでもないと考察を述べる二人を尻目にはようやく重い腰を上げた。
「行くのか」
仙蔵の問いに答えず顔を覆う布を整える姿が鼻につき強い口調で返事をしろと言えばため息が一つ。
「お前らの担当は侵入経路の確保だろ、それができなかったならもう話すこともあるめぇよ」
「そうだな。ならこれだけ渡しておこう」
「羽織か」
「城の者から拝借してきた。ここに来るまでに文次郎と留三郎にも渡しておいたものだ」
私たちではこれくらいしかできないからなと皮肉を吐き捨てる仙蔵に対し長次は気を付けていけと声をかけた。
相も変わらず無言の男は、その場からバサリと飛び降りた。
「全く読めぬ男だ」
仙蔵の吐き捨てた言葉も、目を光らせ城へ消えた男にはもう聞こえない。
目は黒炎に灯る 前│>>
-戻る-