残っていた用具委員会の仕事を終えたときには既に日も落ち、すれ違う下級生はお休みなさいと寝巻きで部屋へ戻っていく。
「おー留三郎、精がでるなー」
「ん?何をしているんだ与四郎」
「見てわかんだろ、晩酌だァよ」
お前もどうだと盃を進められ、たまにはいいかと縁側にいる与四郎の横へ腰かける。
「おめーも委員会やらの監視やらでてーへんだろ、飲め飲め」
の名前を聞き昼間の一件を思いだした。
こいつなら何か知ってるだろうかと酒も入り軽くなった口で昼間の出来事を語ると、思いがけない話を耳にする。
「あいつは仲間に裏切られたことがあんからなー」
「ん?」
「あんな性格だべー?仲間ン中に敵さ作ってなぁ毒盛られたんだ」
「どく!?」
「だけんど味方してくれたやつがあったおかげで死んでねーけんどよ、痛覚がなくてな。ボールさ気付かねーのもそのせいだな」
「とんでもない話だな」
「ここじゃ信じらんねー話だべ。それが堪えたのかあいつ昔以上に人を寄せ付けないような態度で───」
「適当なことぬかしてんじゃねぇよ殺すぞ」
背後から突然の気配、そして殺気。
「酒なんか飲んでるからここまで接近されても気付かねぇんだよ」
「こりゃやられたなー、んでもよぉ、殺気立ちすぎだべ。危うく襲っちまう所だった」
「よく言うぜ」
殺気は解かれ、男は厠はどこだと六年長屋をドタドタ歩いていった。
「全く末恐ろしい野郎だな」
その後、向こうから文次郎がやって来たがとすれ違ったかと聞けば否と答えた。
では厠でなくどこへ行ったのか。
聞くのも探るのも億劫で、ただ問題を起こしていなければそれでいい。
それだけを願い床につく。
作戦まで、あと二日。
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