2日目の朝は教室に来なかった。相澤曰く今日はB組の方へ挨拶に行っているらしい。なんとなく気になって教室を見に行ったが、B組は1時間目から実技が入っていたらしく教室は空だった。
「いないか……」
「誰を探してるんだ」
「ヒッ!」
背後から声をかけてきたのはお探しのだ。何の気配もない接近に芦戸がすっとんきょうな声を出したのも仕方がない。
「さん、貴方を探してたのよ」
娃吹の問いかけには首を傾げて答えた。何の事だかさっぱり、とでも言いたげな面はやはり相澤と同い年とは思えないあどけなさを残している。
「先生、今日はB組に行くのー?」
「今日は、つーか今週な。実際どのクラスの警護をすればいいのかはっきりしないから、とりあえず今週はB組に厄介になるよ」
「A組じゃないのは相澤先生に嫌われてるからですか?」
芦戸がずばりと言い放った言葉には引きずられるようについてきた耳郎と麗日も冷や汗をかいた。そんなこと、本人に聞くか普通。
「嫌われてる~?んーどうだろね。ひざしにもあんな感じじゃね?あいつは」
「そうね。私はむしろ先生が相澤先生に気を遣っているように見えたわ」
「……そんなことないよ。俺あいつに無関心だもん」
へらりと笑って、重たそうな左腕の器具がカチャリと音を立てたのを合図に立ち去った。B組の生徒と合流するためだろう。
「本当に無関心なんかな……」
「でもさ、無関心な相手にあんな親しげに呼ばなくない?」
「ミステリ~!」
「ミステリーも程々に授業頑張れよ~」
もう随分前を歩いているはずなのには右手をひらりとあげて注意を飛ばしてきた。なるほど、地獄耳でいらっしゃる。
***
「遅れてすんませんブラドキング」
「いや、生徒も今丁度スーツに着終えたところだ。お前の説明はもうしてある」
「どうも。それにしてもこのクラスも個性的なのが多いね」
「そうだろう!友人が持ってるクラスでないからと手を抜くなよ!」
「はは。相澤とはただの同期ってだけ。こっちも向こうも等しく関心が薄いよ」
教師たちの会話を盗み聞いていた物間はなんとも言えない思いでいる。A組と等しく、というのはいい。ただ「等しく」「関心が薄い」というのがいただけない。
ここは一つ、我らがB組の優秀さを見せつけてやらねばならない。あと普通にぽっと出の教師まがい男に見下されてムカついた。
「先生に聞いたら、さ……先生は僕たちの警護兼教師らしいじゃないですか。実際どうなんです?」
「どうって?」
「雄英の教師に選ばれるって相当凄いですよねって話です」
「やだねぇ。A組B組揃って俺のこと探って来やがる」
白々しく肩を竦めて担任に助けを求めたが当のブラドキングは口角をあげるだけで助け船を出す様子はない。そのうえ
「個性を全く知らない相手との戦闘は大変実践的だな」
とそのまま生徒との戦闘を促した。
縦社会であるヒーロー社会。先輩教師がやれというのだから当然はそれに従うのだ。アキレス腱を伸ばし生徒との実践に向けた準備運動を始めた。
「肺活量の君。ちゃんと息吐かないと壁が脆いよ。かといって呑気に息吸ってりゃその隙にワンパンだけどさ!」
「骨の君いいね。俺が空中に逃げられなかったら絶対個性使ってた!」
「生意気なお前……モノマだっけ?お前、俺に触りたいの見え見えだぜ。エッチっ」
のらりくらりと左手の武器からワイヤーを飛ばし空を跳ね地面を滑り。個性も使わず逃げてばかりかと思えば隙をついて殴ってくるから腹立たしい。
「モノマ、お前の個性は俺に触れなきゃ発動しないっぽいな。その癖に体術ガバガバすぎ。最強個性の腰巾着になるか強くなるかしねぇと使いもんにならねぇな」
「こ…い…つ~~~!!」
「わはは、先輩と呼べ」
「先生だろう、一応。……まぁ何にせよ、今週のうちに嫌と言うほど相手してもらえ」
「疲れちゃうからほどほどに……」
肩がはだけたワイシャツを捲し上げてへらりと笑ったなどお構いなしに、生徒たちは勝手にとの模擬戦を予約していく。
誰が一番に個性を使わせるかを競っているのだ。
どうも探られている
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