「なんか、変わった先生だったね!」
SHRが終わり教師達が部屋を出れば勿論話題にあがるのはあの『臨時教師』だ。個性は何なのか、あの腕の機材は何に使うのか、あの衣装は趣味なのか個性を生かすものなのか、相澤先生とは一体どういう仲なのか。──イレイザーヘッドのあの様子から見て少なくとも好感は持っていないようだが、プレゼントマイクに対してもあぁだから好感度と態度が比例しないためわかりづらい──
「HEYクラス!今日も騒がしいなァ!授業を始めるぜェ!」
「あ!今日の一時間目英語だった!」
「くそぉ、始業前の時間で宿題終わらせるはずだったのにあの変な先生のせいでぇ!」
「変な先生?……あぁだな!確かにあいつは変わり者だが、切島と上鳴の宿題忘れはしっかり減点なッ!」
二人の悲鳴に混じって緑谷の驚いた声が教室にあがる。聞きたいことを察知したように教科書を開きながら答えた。
「俺たちゃ同期よ。一緒に卒業式まで出た仲だからまぁ付き合いが長いって訳。腐れ縁だな」
「なるほど……腐れ縁……相澤先生が嫌っていたのはあまり親しくない同級生だったとか……」
口元に指をおきぶつぶつ唱えるのはもういつもの癖だが、聞き捨てならない言葉にふと顔をあげる。
「嫌ってる?イレイザーが?を?」
「えぇ?違うんですか?」
「ケロ、先生がアクションを起こす度に難しい顔をされてたわ」
「なんか避けてたよなぁ」
わっと盛り上がるのは授業の中だけにしてほしい。好き勝手騒ぐ生徒たちに“一喝の声”をあげた。
「嫌いだから、避けてるわけじゃねぇんだぜ」
プレゼントマイクからの“一喝”の直後の言葉だから、ぼそりと呟いたその声を誰も耳にすることはなかった。
***
「というわけでお前がを嫌ってるつー説が浮上してるぜ!」
「……何でわざわざ俺に報告してきた」
「言わせたいのか!?あいつはそれを『自覚』しちゃってるだろ!?」
「……」
「そんな態度に出したままじゃ研修は非合理的、そもそも公私混同すんなよな!」
「んん……」
今回ばかりはプレゼントマイクが正論であったから、イレイザーヘッドこと相澤は捕縛布に顔を埋めしかめっ面を隠した。
「おいこらひさしィ!お前だろ!?俺達が同期だって生徒に教えたの!」
「おぉ、お疲れさん」
「お疲れることなんもしてねぇよ!話逸らすな!」
「まぁまぁ。何怒ってんだ?」
「さっきブドウみたいな頭の奴と金髪に声かけられたんだよ。対応してたらカップ麺が3分20秒も経っちまった!」
俺は2分の段階で食べるのが好きだ、などとぷんすこ怒る内容のしょうもなさに吹き出したプレゼントマイクに更に怒りを露にする。
「折角生徒には黙ってたのによォ」
「別に隠すことでもねぇだろ?」
「そう思ってんのはお前だけだよ。きっと消太も『余計な事言うな……』て嫌な顔するさ!」
「ん?どうだろうな」
のらりくらりとかわすマイクに更に怒ったは最後までイレイザーに気付かず去ってしまった。
「で、どうなのよ消太さん」
「それは向こうの台詞だろ」
ろくに中身も残ってないゼリーの袋を握りつぶしそれだけを答えた。
「やれやれ、校長先生が俺に労いの言葉をかけるわけだ」
授業の準備があると言って相澤が去った後、全事情を把握した元同級生はコーヒー片手に大きく息を吐いた。
『相澤、山田、が同級生である』という情報と共に、『相澤はを嫌ってる』なんて推測が飛び交っては、今後泥沼は確定だ。
せめて雨降って地が固まってくれることを願おうか。
今後を憂いてみる
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