「トントン!センゴク中将!参りました!」
「うむ。セルフSEまでごくろう」
「本日はどのようなご用件で──しょう…か……」

大げさなまでに声を張り上げ部屋の中に入ってきた青年はガバリと敬礼した手をそのままに目線を下げた。何度も訪ねたこの部屋に異質なものを見つけたからだ。

「あの、センゴク中将、それは……」
「あぁ。お前を呼びつけた理由だ」
「失礼します!」
「待てコラァッ!」

怒号のようなツッコミにビクリと肩を震わせたのはではなく、センゴクの横にちんまりと立つ子供だった。金色の髪は目が隠れるほどの長さまで伸び切り、おどおどした様子でセンゴクの顔色を窺っている。
ああ、わかるよ。どれが味方なのか探ってるんだよな。
過去の自分を見ているようでの目は自然に鋭くなる。それを静かに諌めたセンゴクは膝を曲げ、優しく子供の背中を押した。

「私は仕事が多く昼間は面倒を見られないから、彼の傍にいなさい」
「センゴクさん!俺はまだ何も……」
「『上官命令』だ。腹を括れ」
「そんなァ!」
「………っ」

大きな音が苦手なのか、子供はセンゴクのコートを強く握りしめて髪の隙間からこっそりとを盗み見る。彼のハァ、というため息にも大きく肩を揺らした。

「16歳になって、やっと『海兵』としてセンゴクさんに呼ばれたと思ったのに……」
……」
「……」
「職務中は『中将』を付けろと言ってるだろう」
「んもお~~~!!」
「こら、大きい声を出すとロシナンテがびっくりするだろう」
「ロシナンテ~?」

凄みのある声で名前を呼ばれて、とうとうその体を丸々コートの後ろに隠してしまった。他人に対する異常なまでの怯え方に二人は眉を顰める。全く同じ反応をしていた子供を知っているからだ。

「お前がここに来たのは何歳だったか」
「……10か11です」
「この子はその頃のお前よりも幼い」
「……」

唯一の安全地帯であるセンゴクの背後で、小さな子供は必死にその姿を隠そうと背を丸めている。
その姿だって、ストリートチルドレンであったには理解できた。
みんな自分を見下していて、だれが暴力を振るわない人か分からないんだよな。みんないきなり殴りかかってくるから。一人ぼっちの辛さだって、知ってるよ。
泣きそうな顔で二人の様子を見つめる子供に同情に似た眼差しを向ける。

「ふぅ……わかりました」

ゆっくりと膝を折る。更に腰を曲げて目線を子供に合わせると、突然近づいてきた男から逃げるようにセンゴクの背に回る子供に向けて控えめに両手を差し出した。

「俺は。お前の……お兄ちゃん、かな」
「……、」
「よかったら、握手してくれないか?」
「……」

差し出された手を握ろうとして一歩足を前に出した時、丁度そこにあったセンゴクの足に蹴躓き体は大きく前に傾いた。
握手するために伸ばされた手に抱きとめられる形になって、戸惑いと恥ずかしさと混乱でロシナンテは今日一番の声で大泣きした。
この子どこのこ
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