2度目の告白
「とりまる、何でそんな楽しそうなのよ」
「えっ」
答えに詰まった烏丸を玉狛皆が注目する。どうせまたつまらない嘘をついて流すものだと思っていたからだ。
「……え、何?何か隠し事?」
「あぁいや、小南先輩が可愛くて見惚れてました」
「ちょっとやだぁ!そうなの!?み、見慣れなさいよ!」
「そうですね。じゃあ、俺もう行くんで」
嘘だと訂正せず照れる小南の横をそわそわした様子で部屋を出ていく。何かあると尾行を試みた玉狛第2の足は林藤支部長によって止められた。
「今日はあいつの“休日”だからな」
訳知り顔のようだが、どうやらその訳は話してはもらえないようだ。
***
「」
「あー京介!ごめん忙しかった?」
「いや、少し準備に手間取ったんだ。遅れて悪い」
「全然!じゃあ行こうか!」
ここは三門市の隣の隣町。
「知り合いがいない場所のがいいでしょう?」
というの気遣いだ。顔が知れ渡ってる烏丸にとって三門市で会うのはなるべく避けたい。
男同士のデートなんて。
(悪いとは思ってるんだ。「知られたくない」なんて……)
それでも、どうしても高校やボーダーの知り合いに見られたくなかった。
「どうしたの京介。大丈夫?」
「いや。何でもないよ。そうだ、行きたいところがあるんだけどいいか?」
勿論!と頷くの半歩前を歩き何度もマップで予習した道を歩く。少し遠回りにはなったが、迷わずつけたことに内心ほっとした。
「行きたかったとこってここ?」
「あぁ」
着いたのはがずっと行きたがっていた創作料理をだす隠れた個人店。前にここから見る景色と肉料理が最高だと言っていたのを覚えての事だったが、当の本人は喜びより困惑の色を濃く示している。
「来たがってたの、ここじゃなかったってけ」
「いや!会ってるよ!わざわざ予約してくれたの?」
「あぁ」
「嬉しぃ、ありがとう」
「……あぁ」
が笑えばつられて烏丸の表情も柔らかくなる。が笑った顔が好きだった。それこそ多少の無理も厭わない位にはこの笑顔を見ていたいと思っている。
「わー!見ろよ京介!窓際の綺麗な席に案内してくれたぞ!」
「そりゃ予約したんだからそうじゃないか?」
「それもそうか!ありがとうなぁ」
景色を見てにっこり。メニューを見てにっこり。料理を口に運んだ時など本当に幸せそうに笑うのだから無表情さが売りの烏丸もつられて口角があがる。があまりに落ち着きがないから、店員には「仲のいいご兄弟ですね」と言われたが、仲がいいのは事実なのではい、と答えた。も声をあげて笑った。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさま。、鏡見てこい顔に何かついてるぞ」
「……京介、俺たちはどこ行っても割り勘するってのが暗黙の了解だと思ってたけど?」
さりげなく持っていた伝票に気付かれおずおずと戻す。困ったような顔で笑われて居心地が悪い。
「………でも、顔についてるのは本当だ」
「うっそ」
それから後も烏丸によるエスコートは続いた。
シャチを見たことがないというのために水族館へ行き、SNSで話題だというカフェにも行った。はどこへ行っても嬉しそうに笑ったがどこでも少し困ったような顔をした。
「どうしたの、京介」
先に言われてしまった。聞きたいのはこちらの方なのに。
「なんか、無理してない?」
「……退屈だったか?」
「楽しかったよ。すごく。でも俺は接待してもらわなくたって、京介といれればどこでも楽しいんだけど」
困った表情を隠しきれていない笑顔でそんな事を言われて、申し訳なさと嬉しさで心臓が忙しく動いている。
「どうせ、連続して約束破ったことへのお詫びとして、とか言いたいんだろうけど。俺は無理してほしいわけじゃないよ」
「……でも、たまにしか会えないから」
「京介」
前とは違うの靴がどれだけ会えていなかったのかを物語っているようで余計に目が離せなかった。俯いていた烏丸の頬を両手で挟み目を合わせたの行動に、もう音が聞こえてしまうのではと思うほど心臓が高鳴る。そんな相手は、やはりだけだ。だからどうしても失いたくなくて───
「ばかだなぁ。多分俺、京介の思いと同じくらい俺も京介が好きなんだから」
二度目の告白
どこに行くかなんて、誰と行くかに比べたら本当に些細なこと。
頬を赤らめてそう告げるが本当に愛しくて。
「………………じゃあ、、今度紹介したいとこがあるんだ。その…………カピバラは好きか?」
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