それは仕組まれたような偶然で。まるで不思議な力でも働いているのではないかと疑ってしまう。
「三門市は私達の市とは隣ですから、他人事と捉えずきちんと見聞きして自分なりの考えを持ちましょう」
グレーの髪をきちんと撫で付けた中年の教師が生徒達に班行動を命じる。その生徒の中に
の姿を見つけてからというもの烏丸はどこか落ち着かない。
(最近テストと巡回で忙しかったからな……ろくに連絡も取れなかったがまさか本部へ見学に来るなんて)
いつものポーカーフェイスは崩さず、それでも内心かなり浮き足立っていた。ちらりと視線を向けると、示し合わせたかのように視線がかち合い、
がへらりと笑う。
今日のシフト、断らなくて良かった。
(そっか、平日にも仕事なんだ。京介忙しいんだなぁ)
数日前の日付から更新されないメッセージアプリによって埃程度に浮かんでいた不安もあっさり吹き飛んで、今じゃ見慣れない姿の烏丸に見とれているのだから我ながら現金だと思う。
(なんだか仕組まれたみたい!)
だからこの後に見た光景も、やっぱり仕組まれたんじゃないかと思った。
***
見学が終わり、本部から一番近い駅まで送られその場で解散となった。スマートフォンの通知欄には烏丸からの『ロビーで待ってて』の文字が浮かんでいたが、気付かない振りして友人らと駅まで来たというのに。
「
」
烏丸が追いかけてきたから、友人らは気を遣って帰った。
「ロビーで待ってろと」
「一緒にいたくないんだ」
何故と問われれば説明のできない怒りが込み上げてきて、勢いのまま口走ったのは酷い嘘。
「京介と二人でいると、目立つし。それに俺友達と帰りたかったのに」
「…………」
「京介だって、俺と二人でいるの見られたら困るでしょ」
「
」
「あのお兄さんと、……可愛らしい女の子と京介。三人でボーダー最強なんて格好いいね」
一つ吐くと堰を切るように言葉が溢れた。自分でも何を言ったか分からないが、酷いことを言っているのはわかる。
「……だから、一緒にいたくないんだ」
「
」
ずっと黙って話を聞いていた烏丸が
の両肩に手を起き顔を覗きこんだ。
「お前が誤解をしてたから話したかったんだ」
「誤解?」
きちんと話すと言われくるりと背を向けられる。どうしたものかと立ち尽くしているとくるりと振り返られたのでついてくるのを待ってるんだろう。
「それに、今の言葉も嘘ばかりだな」
「……なんでそう思うのさ」
「その顔を見ればわかるさ」
嘘だと分かっているわりには少し寂しそうな顔をしていた。
その顔を見ればわかるのさ。
男主は嘘をつきました。その嘘の内容は「一緒にいたくないんだ」というものでした。酷い嘘だと自覚しているのに、口から漏れ出すのを止める事は出来ませんでした。
#嘘をついてしまった。
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