嫌いだが可愛い!/死柄木弔
愛し合っていた乙姫と彦星は結婚した途端イチャコラで仕事怠けたから天帝って神様が怒って二人を離れ離れにしたんだって。でもそれじゃああんまりにモチベ駄々下がりで逆に仕事しなくね?って事で一年に一度だけ、ワンチャン会えるよって日が7月7日。その日にかささぎ橋がかかることを願って二人はめっちゃ仕事頑張るようになったんだよ。
「わかった?」
「……お前、説明する気あんのか」
人差し指を除いた4本指がの頭を鷲掴む。情けない悲鳴とギブアップの声が響くバーにはさくらんぼといちじくの乗った赤いケーキとももとメロンの乗ったケーキの二つが並んでいた。
『七夕限定のケーキって言われたらね?買っちゃうでしょ?』
切掛けはマグネが奮発してケーキを買ってきたこと。その芸術性の高いケーキを前に大喜びするトガとをよそに、男性陣は七夕がそれほどメジャーなイベントだったかと首を傾げた。
『確かにひな祭りや子供の日みたいにこれって食べ物もないしねぇ』
『元々は中国のイベントですし、あんましお祭りらしいことはしたことないです!ケーキはすっごく嬉しいけど!』
『俺も~~』
二人は既に黒霧に手伝いを求めながら人数分の皿や飲み物の用意を始めている。手慣れた様子でがそれぞれの好みのコーヒー豆をミルに用意し始めた時に今まで黙っていた死柄木が口を開いた。
『で、結局タナバタって何すンだよ』
これを受けての冒頭の説明になるのだが、あまりに雑な解説に死柄木の怒りを買っただけでおわり、結局が用意したコーヒーは黒霧が淹れている。
「でもさぁなんか思い返すと結構いい話じゃんね。年一でしか会えないのに二人の気持ちは冷めないどころか、また来年まで頑張ろ!って思うんだろ?」
「そりゃあれよ。天帝の演出勝ちじゃない?天の川に鵲で橋を作っちゃうなんてロマンチックじゃない」
「わかります!ときめいちゃいますよね!素敵ですよねぇ!」
「んー素敵だけど、それと同時になんかこう、悔しくなりそう」
「どうしてですか、君」
「何で神様の力を借りないと会えないんだよ~自力で会いに行きたいよ~てならん?」
「それには同意だ」
今まで黙って聞いていたスピナーがの意見に同調した。相手は勿論ステインだろう。思い人と言えば思い人だが、本来の七夕とは少しニュアンスが変わっている。
「周りに邪魔されることなく、己の必要とした時会いに行けないのなら意味がない」
「わかる。んまっ!その点俺の個性は瞬間移動ですので?君たちに会いたくなったらすぐに飛んでいくよ」
全員に飲み物を運び終えたがボスンとソファーに座る。その横には当然のように死柄木がいて、彼の左隣は誰が言いだしたでもないがの特等席となっていた。
「安心しろよ死柄木弔。俺はお前の傍から離れる気はないぜ。今のとこはっ」
「ひっつくなウゼェ」
「んははっ!」
離れる気はないぜ、今の所。だから死柄木も、飛んでいける位置にいてよ。
「どこに行くつもりなんだ、お前……」
橋が掛からないんだから、自力で飛んでいける距離にいてくれないと。
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