「なー、さっきから運転中に何見てんの」
「……見てないけど」
「嘘ヘタだなぁ、駆動音すごいしフロントガラス越しに画面切り替わってるのが反射して見えてるよ」
反論するすべがない。助手席に座り手元の端末を操作しているくせに運転席の事まで見えているとは、この人こそサイボーグ化してるんじゃないかと疑うけど、何度聞いても、社長に聞いても答えはNO.普通の人間らしいから納得いかない。
「別に消すことないじゃん。何見てたのーって聞いただけなのに」
「しつこいなー」
「あ、アダルトビデオとかなら言わなくていいぜ。お前の性癖までは興味ないから」
「違いますー!社長がこの仕事終わったら直帰していいよって言うから帰ってからやるゲームについて漁ってたの」
何でわざわざこんなこと言わないといけないの。ただでさえこんなにうるさくて神経すり減らす道運転してるんだから気の散るような会話はやめてほしいのに。
「あーゲームね。わかる。俺もやるなら夜通しやってクリアしたいタイプ」
「あっそう。
ってゲームするんだ」
「するする。ほとんど惰性だけどね。仕事ほどスリリングなゲームもないし」
「ハッ」
笑いがこらえきれなかった。『仕事がスリリング』?さっきから目的地周辺を車で回ってるだけなのにどこにスリルを感じてるんだ。──しいていうならこの治安秩序のゴミみたいな車道を走らせてるオレのほうがよっぽどスリルを味わってる──
「──よし、おっけー。俺らの仕事終わり」
「は?まだ目的の物取り返してないけど」
「呆けちゃってまぁ。いいか?俺らハッカー2人だけでこんな大掛かりな仕事受けられるわけねぇだろ。社長が指名した実動隊が忍び込むための準備をするのが俺らの仕事」
端末の画面には読むだけでも難解なコードが3窓で開かれてる。監視カメラ、避難通路、災害用回線。どれもエラーを起こしていて、管制室のカメラから見る向こうの人員はてんやわんやだった。
「少しでも早く、安全に仕事を終わらせる手伝いをするのがハッカーの仕事。もう今日はおしまいだから帰ってゲームしなよ。はい、メリークリスマス」
「なにこれ、まさかクリスマスプレゼント?」
「当たり前だろ?折角のクリスマスに仕事を入れられた可哀想〜な後輩くんへ」
そう言うと軽やかな足取りで建物の裏口へと向かっていく。どこ行くの、なんて聞こえるか分からない音量だったけど、
はくるりと振り向いてニィと笑った。
「ここからは完全サービス残業だから、まっくすは本当に来なくていいぜ。これが俺のゲームだから」
示し合わせたかのようにやってきた別チームに拳で挨拶をして、友達の家に行くかのように入っていくから、つい好奇心が勝っちゃうじゃん。
「待ってよ
、オレも行く!」
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