周りの騒々しさがかえって俺の孤独を増した。
「木陰の大事」とはいえ、鬼灯色の頬を緩ませて笑う子供や力いっぱい楽しむ大人の集まるこの縁日の場に、暗い顔をした俺がいたのでは何も隠れきれていないのは重々承知の上である。
(そもそも、忍相手に木陰の大事とは意味がないだろ)
不細工な苦笑を浮かべ歩く賑やかな祭り街道が俺のすす汚れた頬を明るく照らすが、浮足立つ人々の視界には映らないことが唯一の救いだった。 水飴を片手に楽しげに駆ける子供たちに自分を重ねるのも難しくなるほど大人になったのだ。ここは一人で来るには体に悪い場所だから人気の少ない鳥居へと逃げ歩く。
本日の主役であるはずの神社は階段下の賑わいを見守るようにひっそりと佇んでいる。 ここは、とても思い出深い場所だ。一年生の頃、皆のように頻繁に家に帰れない俺はここでひっそり泣いていた。
二年生の時、少しずつ皆に遅れを取っている悔しさが溢れてここで泣いていた。
三年生の時、一番お世話になった先輩が卒業して、一晩中泣いていた。
四年生の時は、その先輩が戦の渦中に焼かれ死んだと報告を受け、一日中泣いていた。
泣いてばかりの思い出だが、そこにはいつもあの男の姿があった。 鬱陶しいほど近くにいたのに、いてほしい時にはいつも一人だ。
昔の思い出に浸るほど祭囃子はどんどん遠くなっていく。頭の奥の方でぼんやりと聞こえる笛の音がなぜか涙を誘い目はどんどんと熱く重くなってくるこれは昔からの悪い癖だ。なんでもないものがとても悲しく感じられる。 男がみっともない、泣くな。泣くな。耐えようとすればするほど体は反発するように目頭を熱くする。
最後にここで泣いたのは、俺たちが学園を卒業する時だった。誰がどこの城に就いたかは知らない。誰も聞かず、告げず、夜に紛れるように学園を去ってしまったから。
『八左ヱ門ともしばらくお別れかぁ。大丈夫?お前って寂しがり屋だからなぁ』
『それはお前のほうだろ!』
つまり俺は、この時初めてどこか遠くへ消えてしまったあいつのために涙を落としているのだ。 そして今日も、あの男のためにここに来た。約束をしたわけじゃ、ないのだけれど。
毎年この縁日の日には二人で一緒にここに来ていた。年々それは暗黙のうちに約束がされていて、この鳥居で待っていれば引きこもりのあいつは嫌そうな顔をしながらも必ず来てくれたものだ。
(つくづく甘やかされていたんだな…)
さて、いつまでも同じところにいたって仕方ない。浴衣の埃を払い立ち上がった時、俺の涙に潤んだ目はさらに熱くなるのを感じた。
「ははっ、なんて顔してるんだよ」
まだそばにいる
「お前がほうだろ、
が寂しいだろうと思って来てやったんだ…っ」
「それはお前のほうだろぉ」
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