静かで暗い。
苦しいようで実は自由だと思うんだ。
騒々しい雑音も聞かずに済んで、鬱陶しい視線も注がれない。一人でいるから相手を気遣う必要もない。
上を通る無機質な風の音を聞きながら薄暗い土の上で眠ることは日向ぼっこよりもよほど心地良い。
つまり僕にとってこの上ない最高物件なんだよ。土の中は。
「どこかの天才トラパーが聞いたら喜びそうな様だ」
呆れ顔で頬杖なんてついて、終いにはため息か。突然訪れてきて随分な態度じゃないか。全く、用がないなら向こうへ行ってくれないかな。そっちは眩しくていけないや。閉じた瞼を透かしてくる眩しい太陽も遠くで楽しげに遊ぶ下級生達の笑い声も、ましてやどこまでも希望や野望に溢れる君たち六年生の元なんて僕にはずっと、眩しすぎたんだ。
「起きてこいよ、帰るぞ」
そんなぁ。帰ると言われましても。僕はここが気に入っているんだって。
放り投げた手足に力を入れるのもかったるくて、土の匂いに鼻をくすぐられながら肺に酸素を送る。重い何かを乗せた酸素では僕の肺に刺激が強すぎたようで追い出すように咳をこぼした。顔についた土を優しく払う世話焼きはお前くらいだろうな。
「日が暮れる。早く帰ろう」
……?よく分からない。もう辺りは既に日が落ちているんじゃないかな。留三郎はたまに分からないことを言う。 帰るって、学園に?じゃあここは一体どこ?
どこでもいい。もう眠い。どういうわけか、僕は留三郎たちのように前は向けない性分なんだ。
「心配すんな、必ず帰れるさ」
冷たい、土のなかで、触れる留三郎の体温だけが暖かい。
あれ?言われてみれば僕はここで何をしているんだっけ?まぁいいや、留三郎が迎えに来てくれたんだから。
土のなかはとても死ずかだった
僕は少しずつ、騒がしい熱を思い出す。
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