おれ/サンジ
「ロビンちゃん!コーヒーでもいかが?」
「えぇ頂くわ」
「サンジ!俺も!俺もコーヒー!ミルク3個入れて!」
「……。うるせェ!テメェはこれでも飲んでろ!」
だんと叩きつけられたのはコーヒーの豆なし。つまりお湯。
「えー嘘ーさすがにひどーい格差がひどーい!」
「あら?……ふふ、、これは白湯って言うのよ」
「さゆ?初めて聞く飲み物だな──ってほら!やっぱただのお湯じゃん!ひどい!ロビンまでひどい!」
口にいれるものはどんなものだってうまいまずいはさておき“味”がするものなのだ。こんななんの味もない水という存在はいまだに認められない。無味無臭の存在が口にはいると脳が混乱してしまうのだ!
「俺も甘々なコーヒーが飲みたいよーサンジー」
「うるせェ。それ飲んでさっさと部屋戻れ」
「か~!なんでそう意地悪言うのかなぁサンジ君は!そう言われると反発してここに居座ってしまうもんねぇ!」
「ハァ!?」
「うふふ。扱い方が分かってないわね、サンジ」
ロビンの発言が引っ掛かるけど触れないでおこう。事実、サンジはいまだ俺の性格を理解していない。俺は天性の天の邪鬼でサンジも女性以外にはかけらも気遣いを見せやしない。俺たちにもその優しさを少しぐらい分けてほしいものだ。
「おい、聞いてんのか」
「え?サンジの優しさが足りないって事?」
「ハァ!?」
「うふふっ」
余程心外だったらしいサンジがコーヒーを数滴床にこぼした。二人も気にしないくらいの量だしその辺出歩いた靴で船内歩き回ってるんだから今さらなんだって話だが、見つけてしまうと放っておくのも忍びない。蟻が船内に入ってきたらやだし。
「おい、何する気だ?」
何って、床を拭くだけだけど。見れば分かるだろうしなんだか説明するのもかったるいから何も言わないまま床にしゃがみ、腰布で床を拭き始めるとその腕を強く掴まれ引き上げられた。
「サンジ……?」
一瞬だけ焦ったような顔に見えたが俺と目が合うなりまた仏頂面になり腕が解放される。
「コーヒー拭こうとしただけなんだけど……どうした?」
「……こ、腰布で拭くなよ汚ェな!自分でやる前におれに言えばいいだろ!」
「料理人が床を拭く方が汚いだろぉ。大事な船を足で拭くわけにもいかねェし」
う、と押し黙ったサンジがくるりと背を向けて今にも落ちそうになっていた灰を灰皿へ落とす。なんだか普段より落ち着きない様子に大丈夫かと声をかけるのは当たり前だろう。なのに何故俺が変なこと言ったような顔されるのか。
「大丈夫じゃねェのはお前の方だろうが」
「俺ェ?俺は普段通りだけど」
「……マジで言ってんのか」
「ん?うん……」
サンジにはため息をつかれロビンには笑われた。
「なんだよ、さっきから意地悪だぞサンジ」
「どちらかと言えばおれのは親切で───」
「!体調悪いって本当か!」
「チョッパー?」
突然部屋へ飛び込んできたチョッパーを抱き上げて落ち着くように諭すも短い手はぐんと伸ばされて俺の額に触れる。蹄っていうの?意外と堅くて痛い。
「ほんとだ!これ絶対熱あるぞ!」
「えぇ嘘ぉ。普段通りだから気付かなかった」
「何が普段通りだ。傍から見たらまる分かりなんだよ」
「すごいなサンジ!おれはロビンに呼ばれるまで気付かなかったぞ!」
「私もサンジの反応で察しただけよ?」
「…………、」
そのままサンジは固まってしまい、ロビンはチョッパーを抱えて出てっちまった。
「サンジ、顔赤いけど俺の風邪移った?」
「うるせェ!!!!!」
結局俺も蹴り出されてしまい船医の指示通りそのまま自室で休むことに。
まったく病人には優しくしてほしいものだ。
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